見学者感想

3月26日に見学にいらっしゃった、広島大学医学部医学科5年のHさんの見学後の感想を掲載します。


 私は医学部を目指し始めた時から、総合医に憧れがありました。岡林先生が広島大学に講義に来られた際、在宅医療のお話を聞いてこれはもしかしたら私が目指している医師像に近いかもしれないと感じました。患者さんの病気を診るだけでなく、その人の性格や家族などの周りの環境をふまえたうえで医療を行っていくという考え方に深く感銘を受けたのです。そこで、まだ医学的な知識は少ないながらも何か得られることがあればと思いこの度見学させていただこうと決めました。
まず病院に着いたときに感じたことは、ここが病院?ということでした。明るい光が差し込む食堂、そこから続くリハビリのためのスペースはあまりにも自分の想像したものとはかけはなれており、言われなければ病院とは思えないほどでした。さらに先生方と一緒に訪問診療に同行させていただいて、いわゆる病院での患者と医者の関係というものがここでは存在しないような気がしました。先生に気さくに話しかける患者さんをみていると、まるで家族か何かのような気がしてきたのです。そこにはやはり深い信頼関係があるのだろうと感じさせられました。
すべてが印象的だった今回の実習の中でも最も印象に残ったのは、癌のターミナルの患者さんの診療に行ったときのことでした。診療中の車の中で次は癌のターミナルの患者さんの家に行くと聞き、私はなんとなく暗い雰囲気を想像していました。しかし実際に家に行ってみるとそこには笑顔の患者さんの姿がありました。病院での抗がん治療を終えて帰ってきて家で好きなものを食べられることがうれしくてしょうがないのだそうです。後で聞くとその患者さんは胃がんで胃の全摘をされており、栄養面では経口摂取では不十分ということでした。それにもかかわらず、病院から帰ってきた時よりもすごく顔色がいいんだよと先生もおっしゃっていました。そしてなにより患者さんの家族も一緒にそれを喜んでおられました。先生は、患者さんも満足、そして家族も満足して最期の時を迎えられることを「満足死」というんだとおっしゃっていました。患者だけでなく、その家族にまで配慮するという考えは決しておろそかにしてはいけないと思いました。
今回一緒に診療させていただいて、医師にとって訪問診療は一人ひとりの家に行かなければいけないという大きな負担をも伴うものだと分かりました。しかしそんな中でも訪問診療でしか得られないもの、たとえば常に家族と共にいられることや自分の住みなれた環境にいられる安心感が、患者さんの心を明るくし、QOLを高めるのだということも分かりました。つまりこれから医療を行っていく上で、病気の治療をしているだけでは病態は良くならない、心のケアまで考えないと医療というのは成り立たないのだということを改めて教えられた気がしました。
最後になりますが、今回、このような貴重な経験ができたのも岡林先生をはじめとしたCMCのスタッフの皆様のおかげです。この経験を生かしてこれからも立派な医師になれるよう精進していきたいと思います。どうもありがとうございました。
[PR]
by cmcweekly | 2012-04-02 18:31 | 感想

CMC広島のスタッフが毎週更新していきます。お楽しみに☆


by cmcweekly