見学者感想

先日見学にいらっしゃった、N理学療法士さんの見学後の感想を掲載します。

デイケアの食事場面
・食事をとる場所には、カフェにあるような小さな黒板に今日のメニューが書かれていて、レストランにいるような錯覚を覚えました。それをスタッフに伝えると「それがここの食事のコンセプトなんだ」と言われ、相手の思惑通りに感じてしまいました。
・今の勤務先は弁当という食事形態をとっているので、食事前に匂いを感じることは少なく、弁当の蓋を開けて初めてほのかに匂いを感じる程度ですが、貴院のデイケアは同じ施設内に調理場があり、食事をとる場所と隣接していて、扉も開放されているので、11:30頃には昼食の匂いが漂い始める。匂いを嗅いで「今日のお昼は何かな?」と考え始める自分が、中学校の4時間目の終わり頃を思い出させました。匂いのおかげもあって12時頃には空腹感を感じている自分がいました。
・デイケアのスタッフも利用者と同じ時間に同じ食事を取っておられ、それは別個に昼休憩を取る時間がないことも背景にあるようでした。しかし一緒に食事をとり同じものを味わうことで一体感を得られ、何かあったときの対応はスムーズになると思いました。今回食事を食べさせて頂きましたが、本当に美味しかったです。献立表を見ると主食を含め品数が4~5品あって昼食代金500円。これで儲けはあるのかと尋ねると「正直儲けはすごく少ない。場合によっては赤字のこともある。でも食事はしっかり楽しんでもらいたいという院長の方針なので細かいことは言わないように言われている」と聞き、利用者のことをすごく考えられていると感じました。
・利用者が他の重度の利用者の使われた食器類の後片付けを手伝っていた場面を目にして驚きました。それは、デイケアの利用者は受け身の立場であるというイメージが私の中にあったからです。スタッフより「利用者のボランティアを推奨している」と聞き、新しい試みだと思い好感を覚えました。またそれを推奨するという考えに至ることがすごいなと思いました。●●の利用者は多少なりとも転倒のリスクがあるため、同様のことは難しいにしても、「何か作業をしてもらう」から「出来るだけ自主的な形で実用的なことを何か手伝ってもらう」というスタッフ・利用者の考え方の転換が必要なのかもしれないと思いました。
デイケアを通して
IPADで読書を楽しまれる紳士(80代)にお会いしました。デイケアに関して「ここは良いですよ。好きなことができて料理も美味しいし・・・」その話を聞いて、改めて周りを見回しました。椅子に座ってTV鑑賞や利用者さん同士で話をされたり、リハビリを受けたり、自主トレに励んだり、スタッフとの会話を楽しまれたりなど本当にいろいろなことをされているようでした。学生時代に見学したデイケアや今の●●もそうですが、リハビリの他に、歌を歌ったり、レクリエーションをしたりといった、タイムスケジュールに沿って用意された内容をこなしていくというのがデイケアのイメージでした。確かにそのような場も必要とは思います。しかし「他者と関わりを持ちたい」「何かの役に立ちたい」といった思いをもつ高齢者は少なくないと思います。そのような方々が集まって、各々が好きなように時間を過ごす中に運動機能維持・改善を盛り込んだ貴院のデイケアのようなスタイルが、現代の利用者のニーズにあっているような思いを持ち、貴院のデイケアはデイケアを超えた一種のコミュニティーのように感じました。またこのようなタイプのデイケアはこれから必要になってくるのではないでしょうか?自分の親がもしそのような場所を求めているとすれば、貴院のデイケアを一番に紹介したいなと思いました。
午後の業務。(CMC)PTに同行 ~一人目の全盲・脳梗塞後遺症の方の訪問リハを見学して~
事前の情報として、利用者さんはタバコが大好きだが、全盲のため自己着火は危険が伴うので、家族や他者の手がないときは喫煙を禁じており、訓練後にセラピストが着火しタバコを吸うと聞いていました。現在の死亡原因の上位にあたるCOPDの原因は喫煙であるし、個人的にタバコはあまり好きではないので、(CMC)PTから話を聞いたとき「ふーん」といった程度の思いしかもっていませんでした(すみません)。しかし、訓練後に利用者さんのタバコに(CMC)PTが火をつけ、一吸いした時、頸を傾けながら、「う゛まいな~」としみじみ言われたのがすごく印象的でした。こんなに美味しそうに吸う人は見たことがないとも・・・。なぜそんなに美味しく吸うのか?と思うと、(CMC)PTの話では、デイケアに体験に行ったこともあるが、歩行不安定で全盲という状況は介助者が常時つき、自由が得られ難かったため、デイケアへの拒否が強い。そういったことが重なって次第に外出や他者との交流機会が減っていき閉じこもりがちになってしまったのだろう。加えて大好きな喫煙の制限。それらを考えると、リハ後の喫煙は利用者さんにとって貴重な時間であり、リハビリへのモチベーションにもつながっているのだろうと思います。でも、心のどこかでやはりタバコは害があり、悪影響を及ぼすもの。訓練後に吸うなんて・・・とい思いがありました。しかし、利用者さんの心からの「う゛まいな~」という姿を目にすると、「幸せだな~」と思うその瞬間や、その思いが人生を楽しむということなのかなと思い、タバコの害のことはもう気になっていませんでした。今までの病院勤務時代には、訓練の効果や目標、問題点等を考えており、このような関わり方は恥ずかしながら経験したことがありませんでした。
少し私事ですが、訪問リハへの転向を考えたきっかけは、某病院在勤中のALS(上肢型)の外来患者さんの死でした。介入当時はVC2500程度。介入半年頃にはVC1800程度、Dr.に夜間BiPAPを依頼すると(肺コンプライアンス・咳嗽能力維持目的)、VC1000を切らないと意味がないと言われ(延命措置目的)、散々説得した結果3ヶ月後BiPAP導入にこぎつけましたがVC1200。導入と同時に訪問看護ステーションの介入となりましたが、人工呼吸器はわからないと十分にフォローして頂けず、3ヵ月後呼吸不全にて死亡。このようなケースが続いて2件も起こりました。外来リハ通院患者は診療所からの訪問リハは利用できないため、訪問看護ステーションからの訪問リハの適応となる。大病院にかかっている多くの在宅患者のケアを行うためには訪問看護ステーションに行くしかない、そんな思いで訪問の分野に身を投じました。しかし、この利用者さんにお会いして、自分の思い描いた在宅のケアは、病院側の立場で考えた一方向からのケアであって、一方通行だったのでしかなかったのではないかという思いを持ちました。
例えば、ALS患者に人工呼吸器を早期より導入し、受容され、アンビュー・MI-Eを利用した呼吸リハや排痰介助により気道クリアランスを得る。座位が難しければ車椅子の導入やシーティングの介入などなど、このようなケアが出来れば理想的であり、このような介入が出来たらと思っていた。だが、この利用者さんには、この後、何がある・・・?呼吸リハも大事、車椅子に乗れることも大事、でも一番大事なのはそれらを踏まえた上で、「幸せだなー」と心の底から感じれること、そういった関わり方が必要なんだと思いました。それを当たり前のように行う(CMC)PTや院長先生は本当にすごいなと思いました。今思うと、もし亡くなったALS患者さんのケアが十分施されご存命であったとしても、この利用者さんのような幸せの瞬間を自分が見つけることは出来ていなかったろうと思います。ただ、機能を維持しているという事実だけで満足していたかもしれません。
まだ私には、利用者さんが何を求めていて、どんなことに幸せを感じるのかという目がまだまだ養われていません。貴院のような関わり方が出来たら・・・と憧れを抱くばかりです。これからそういう目を養っていくためにも、まずは利用者さんがどんな方でどんな人生を歩んできたか、どんなことに困っていて、何を求めているのかなど利用者を知ろうとするところから始めようと思います。本当にそういった関わり方ができるか不安に思うばかりですが、今回の利用者さんの何とも言えないあのくしゃっとした至福の表情は、在宅ケアを始めていく上で自分にとってとても良い財産になりました。利用者さんに本当のケアを提供できるよう精進して参ります。

※N理学療法士さんの勤務先名部分は●●で表現させて頂いております
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by cmcweekly | 2012-05-10 15:45 | 感想

CMC広島のスタッフが毎週更新していきます。お楽しみに☆


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