『有り難う』

私には忘れられない人がいる。
まだ新人だった頃、あるご夫婦と出会った。
奥様が脳梗塞で入院され、ご主人が献身的な介護をされていた。
幸い麻痺も軽く、日常生活に支障ないほどまで回復し、退院された。
病院勤務では患者様とプライベートまで関わることは珍しかったが、
ご自宅へ招待して下さり、遊びに行ったことを覚えている。

数年後、病院の廊下でその奥様と出会った。
「今度はご主人が脳出血で入院された」とのことだった。
奥様の時より重度で、気管切開をされていた。一般病棟へ移り
車椅子で何とかリハ室へ来られるようになった。元気だった頃を知っていたため
変わり果てた姿にショックを受けた。
気管切開をされていたため声が出ず、私はペンと紙を渡し
「今の気持ちを書いて下さい。痛いところはないですか?しんどいですか?」と尋ねた。
するとご主人は弱々しくペンを持ち、でもしっかりした文字で

『有り難う』

と書かれた。
私は予想していなかった言葉に驚き、言葉の意味が分からなかった。
命を助けてもらった「有り難う」なのか、今までの感謝の気持ちから
奥様や家族への「有り難う」なのか・・・

自分が苦しい時、誰かに対して「有り難う」が言えるってすごいなって思った。

ご主人はリハ室に来れたのはその1回きりで、その後状態は悪化し人工呼吸器装着となり数日後亡くなった。

日々の生活の中でよく出てくるのは不平不満、愚痴・・・などなど
でもちょっと気持ちを変えてまわりの人へ感謝を伝えことも大事かな、と。

まずは自分の一番身近な人へ「有り難う」と言ってみようと思う。
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by cmcweekly | 2013-03-15 18:52 | プライベート公開

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