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平成26年度 実習の感想①

広島総合病院 
研修医2年 中野貴之

大学での地域医療の実習の一環で一度、往診に同行させて頂く機会がありました。神石病院での研修期間中であり、往診に行った場所は神石病院よりもさらに山奥でこんなところに人が住んでいるのかと思うような場所でした。その経験から往診とは山奥に行くものだという印象でした。そのような印象を抱いて初日に往診に向かった場所は私の母校の近くで見慣れた、懐かしい地域でした。
ALSの患者さんで、胃瘻での栄養管理を実施しており、気管切開をし人工呼吸を装着していました。その患者さんに先生は気管支鏡をバッグから取り出し気管へ挿入し、ファイバーを観察しながら気管の観察や痰吸引を行っていました。大学の実習で抱いていた印象とは全く別の光景がありました。そして何より患者さんが家族、定期訪問にきている医師、看護師の方々に囲まれ笑顔でいる事が印象に残りました。簡単に比較できる程単純な事ではないと思いますが、入院して受けられる医療を自宅でこのように受けられるのならほとんどの人が後者を選ぶだろうと思いました。
それに加えてコールメディカルには300人以上の患者さんがおられますが、その一人ひとりに合わせた医療を提供できる利点があると思いました。患者さんの疾患による医療を超えて、その人の生い立ち、家庭環境、さらには性格などに対して、柔軟に対応できるのも、在宅医療の強みだと思いました。ただしそのためには患者さんと患者さんの家族の人たちと、医療スタッフの信頼関係が必要不可欠であるのだという事も感じました。その信頼関係を築くために365日24時間体制で日々働いているコールメディカルのスタッフの方々の姿に感銘を受けました。往診に同行させて頂いた先生から、在宅医療で大事なのは患者さんに24時間毎日何かあったら来てくれるという安心感を持ってもらう事だ、という事を聞きました。広島総合病院で普段は入院している患者さんと対応する機会が多く毎日2、3回何気なく回診していましたが、果たしてその時患者さんに安心感を持ってもらえるよう接することができていたか疑問に思い、そして改めて患者さんへの接し方について考えさせられました。
また、コールメディカルでの研修ではリハビリ訪問にも同行もさせて頂いたり、また昼休みにはデイケアの様子を見させて頂いたりと、他職種と協力した医療というものを間近で見る事ができ、チーム医療の大切さを改めて実感出来たと思いました。病院での医療ではどうしても患者さんとその家族の人達は受け身になってしまいます。しかし在宅医療では逆に患者さんとその家族が中心となっていました。糖尿病の患者さんがこういう食事をして工夫しているけど他に何か良い方法はあるかと訪問している先生に尋ねたり、家族の人がリハビリを積極的に行っている姿をしばしば見ることが出来ました。そして病気を治すうえで、本人のやる気であったり、家族のサポートが本当に重要だと感じました。

2週間、突然の訪問にも関わらずとても温かく迎えて下さった患者様、ご家族の方々、また本当に優しく指導して頂いた医療スタッフの皆様に、この場をお借りして心より御礼申し上げます。今後、ここで得た経験、知識を生かして少しでも患者さんが求めるような医師に近づけるように精進していきたいと思います。
by cmcweekly | 2014-05-19 12:09 | 感想

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